キタの思ひ出

以前、大阪に単身赴任していたことがある。
この写真の大阪市役所の向こう、大阪公会堂、中ノ島図書館、東洋陶磁美術館の川向う辺りの北浜を拠点にしていた。
平日はオフィスとの往復だが、終業後に着替えて、街を徘徊していた。
あまり店とかには行かなかったが、東京とは違った雰囲気があって、ただ歩いているだけでも楽しかった。
1時間や2時間歩いて、色んな所に行った。
梅田、北新地、中ノ島、御堂筋、心斎橋、難波、天満、松屋町、谷町、福島、京橋。
地下鉄に乗って大阪港、京阪電車に乗って京都、阪急電車に乗って神戸や三宮、といったところまで足をのばした。

新大阪で新幹線を降りて、スーツケースを転がしながら歩いて、エスカレーターは右側で待機した。
それは予習していった。
東京駅では左側、新大阪駅では右側で待機し、在来線の乗降口では行列を作らない。

オフィスから生駒山の鉄塔が近くに見えたが、行ったことは無い。

大阪駅前ビルの中は迷路だった。
第4ビルまであるうえに、地下と地上と各鉄道との連絡口に繋がっている。
オフィスから近いこともあり、昼は時々食べに行った。
トンテキ、てんぷら屋、うどん屋、居酒屋のランチ、カレー、ラーメン、幾つかお気に入りの店もあった。
夜に仕事仲間と飲みに行ったこともある。
お好み焼き定食や、焼きそば定食の店もあったが、結局、入らなかった。
古本屋もあり、ちょっと覗いてみたが、特に大阪らしい本も無かった。

基本的に自炊をしようとしてたのだけれど、そうも続かない。
かといって、大阪の中心街に近いため、店に入って食べるにも、相応の値段である。
歩いて数分のところにある、おしゃれカフェなどは入りもしなかった。
夜中に時間を持て余して徘徊したり、酔い覚ましに歩いたり。
ある日、夜明けに松屋に入ったら、ご飯が炊けていなかったことがあった。
夜中にすきやで食べたカレーは味が薄かった。

ある日、夜中に散歩してマンションに帰ってくると、入口に座り込んでいる若い男がいた。
警戒しながらオートロックを開けて入ると、その男も付いてくる。
住人なのか何なのか。
酔っているのか、ふらふらしながらエレベーターに乗ってくる。
自分より一つ上の階を押した。
警戒は解かない。
自分の階で降りて、速足で廊下を歩く。
背後で同じ階で降りて、付いてきた気配がした。
振り向かず、急いで部屋に入り鍵をかけた。
一体あれは何だったのか。

別の日に夜中の徘徊。
午前1時ごろにどこかのバーのママに
「先生!先生!」
と呼びかけられた。

お気に入りだったうどん屋、一度だけ行ったおでん屋、入ってみたかった日本酒の店、気が向いたらまた書いてみるかもしれない。

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