Messyrecords通信 September, 2021

このところ、忙しいとばかり言ってるので、忙しいことにもう飽きた。
だが、今月はあまり音楽を聴く気にさえなれなかった、というのが正直なところだったが、それでも新しい音楽との出会いはあった。
 
Esperanza SpaldingはUSAオレゴンのベーシスト。
JAZZのセッションもやっているようだけど、このMVを観ると、JAZZだけでなくアフリカンな響きがあったり、エレクトロな要素もあったり、ちょっとオルタナフォーク的な感じもあったりする。
ジャンルで話すのはあまり意味がないけど、なかなか心地良い響きとリズムの曲。 
映像の赤も印象深い。
 
Penguin Cafe OrchestraはUKのバンド。
70's〜80'sの頃はSimon Jeffesが中心に活動していた。
室内楽の編成を取りつつオリジナル曲を行う。
おしゃれ系なイージーリスニングっぽい感じに紹介されていると思うけど、アフリカンなリズムがあったり、プッシュ式電話機と輪ゴムの曲があったり、拾ってきた楽器をもとに曲を作ったり、実験音楽のポップ化をしたバンドだと思っている。
この曲は1stアルバムに入っている11分の曲。
 「君の恋人が去っていく音がするけどたいしたことじゃないよ」という曲名は何かの詩の一節のような気もするけれど良くわからない。
フォークのような出だしで、繰り返されるモチーフが変化しながら続いていく、ちょっと複雑な曲の展開をするけれど、全体的には心地よい響きの曲だ。
Simon Jeffesは1997年に逝去してしまっていた。
現在は息子のAuther JeffesがPenguin Cafeという名義で活動しているが、たぶん別ものだと思っている。
70's中盤のパンクロックが台頭するのとほぼ同じ頃に、活動を開始したPenguin Cafe Orchestraというのは、そろそろ再評価されても良いんじゃないかと聴き直して思った。
 
Lightnin' HopkinsはUSAテキサスのブルースマン。
彼の代表曲の一つのMojo Hand。
ブードゥー教のおまじないで、意中の異性が自分に向くようになるとか、猿の手のミイラだとか、悪魔に魂を売り払って手に入れるんだとか、いろんな噂を聞いたことがある。
たぶん このキーワードだけで一冊の本になるくらいではないだろうか。
ルイジアナに行ってMojo Handを手に入れるんだ、あの娘が心移りしないようにな、って渋い声で繰り返すご機嫌な曲。
 
Tinariwenは西サハラのトゥアレグ族のバンド。
Wikiによるとリビアの反政府勢力のキャンプで知り合って結成されて、マリを拠点に活動しているらしい。
Sastanàqqàmって何語なんだろうとGoogle先生に訊いてみたら、クロアチア語で「私は会う」ということらしいけど、本当だろうか。
ブルースとトゥアレグ族の歌のミクスチュアっぽい感じ、ちょっとサイケ風味もある。
トゥアレグ族は欧州の植民地支配で複数の国に分断されているので、国で音楽を語るのも民族で音楽を語るのもあまり意味がない。
ともあれ、ちょっと武骨でゴリッとした感じのギターと歌がかっこいい。
 
Gaël Fayeはルワンダ人とフランス人の混血で、ブルンジ出身だけれど内戦を逃れたフランスで活動しているラッパーらしい。
文才もあるらしく、自分の半生を語った本を出版したりもしているらしい。
TÔT LE MATINはフランス語で「夜明けに」という意味らしい。
MVに近いけど、そうでもないような強いリリックのようだ。(Google先生の訳が相変わらず的を外してくる)
ちょっとドラマティックなトラックと淡々としたラップ、フランス語のライミングがなかなか良い。
そういや最近、ヒップホップカルチャーを題材にTVでもちょいちょい見かけるようになったけど、あくまでUSAの80'sからの視点しかなくて、表現形式としてのヒップホップを語ってるのは見たことがない。
自分が見たことがないだけで、誰かが語ってるのかどうかも知らないし、そんなことに興味を持ってる人がいるのかどうかも知らないけど。
ともあれ、世界中の隅々まで表現形式としてのヒップホップが行き渡っている状況というのは面白いなと思う。
 
今月は少なかったけれど、面白い音楽との出会いはあった。
 

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