Messyrecords December, 2020

 今年最後の音楽紹介まとめ。
 12月ともなると、あちこちでクリスマスソングが聴こえてくるので、他のものが聴きたくなる。
まぁ、ヘソ曲りだな。
 
先月も紹介したJainはフランスのシンガー。
「Come」のMVの最後のあたりのシーンが、このMVに繋がっている。
一転してアフリカンなビートの聴いた曲もなかなか良い。


たぶんTVで軽くセッションをしている映像だと思う。
ギターの弾き語りをしているIdirはアルジェリアの有名な歌手らしい。
一緒に歌っているDania Ben Sassiはセルビアのベオグラード生まれだが、Amazighの血を引いているようで、「リビアの春」と言われる民主化運動の際にはAmazigh運動のアイコンとなったようだ。
Berber、Amazigh、Kabyleを正確に理解できていないと思うけれど、北アフリカの各国にまたがって暮らしている民族が自らをAmazighというらしい。
民族のアイデンティティとなる旗や3本指のサインもある。
また、いくつかの民族に分かれていて、そのうちの一つがKabyle族らしい。
で、以前、Berber族の音楽を漁っていた時に気になった曲があって、それがこれ。
何かの映画かドラマのワンシーンのようで、誰が歌ってる何という曲か知りたくて、動画のアップロード主へ問い合わせたが、知らないとの回答。
Berber族の歌らしいという以外の手がかりも無かった。
が、この曲で歌っているのは、Dania Ben Sassiじゃないか、と気づいた。
長年の人探しがようやく解決した。

 Sona Jobartehはガンビアのシンガー、コラ奏者。
グリオという伝統的な音楽家の家系で初の女性コラ奏者とのこと。
早弾きだったり、ギターとの掛け合いや、バンドとしても面白い。
 
 
Fatoumata Diawaraはマリのシンガー。
ゆったりと歌い上げる、ポップスに近い感じ。
細かなトレモロっぽいギターもちょっと面白い。
 
Les Filles de Illighadadはニジェールの、というよりトゥアレグ族のバンド。
Tendeという音楽らしい。
女性のコーラスと、手拍子、 ウォータードラム、そしてサハラスタイルというかトゥアレグスタイルのギターが絡み合いながら、淡々とミニマルなビートとうねるようなビートが重なりあっている。
いつまででも続きそうな気持ちよい響きだ。
また、メインのギター&ボーカルのFatou Seidi Ghaliはニジェール唯一のトゥアレグ・ギターを弾く女性らしい。
トゥアレグ族は女系社会であり、Tendeは伝統的な女性の音楽、トゥアレグ・ギターは男性の音楽という背景があって、このバンドのスタイルは特別なもののようだ。
青紫系の民族衣装か、ステージ衣装も決まっている。

Ali Farka Toureはマリのギタリスト&シンガー。
90'sの頃のワールドミュージックの流れから知ったと思う。
その後、Ry Cooderとの共演で再び目にしていたが、2006年に亡くなっていた。
Toumani Diabateはマリのコラ奏者。
Aliの亡くなるちょっと前の共演のようだ。
繊細なピッキングと、ゆったりとうねるようなビートが癖になる。
アメリカのブルースとは異なる、ある種のブルースっぽいものが、Aliの歌やギターにはある様な気がしている。
 
TINARIWENはトゥアレグ族のバンド。
1979年にリビアで結成、マリを拠点に活動している。
この曲はアメリカ人のCass McCombsも参加しているためか、ブルース寄りの音もありながら、トゥアレグギターのテイストもある。
とても乾いた感じがする。
 
トゥアレグ族のバンドを更に掘っていく。
Group Ineraneはベースレスで、延々と繰り返されるギターのリフと女性コーラス、ロロロロっていう動物の鳴き声のような合いの手、グランジっぽくもありながらサイケデリックな感じもする。
これもずっと聴いていたくなる。
 
Oumou Sangareはマリのシンガー。
Wassoulouというジャンルの音楽らしい。
独特のコブシの効いた歌声が心地良い。
それぞれの言語の持っているリズムが、コブシになると思うんだけれど、まだ上手く分析しきれていない。
原色が中心の大胆なデザインの衣装もかっこいい。
 
Mbongwana Starはコンゴのキンサシャのバンド。
EDMっぽい4つ打ちの上に、浮遊するようなギターやボーカルが重なっていく。
全部がバラバラなようで絡み合って独特な音になっている。
ヘッドホンで聴いた方が良いかも。
別のライブ映像を観ると、ボーカルの2人足が不自由なのか車椅子でステージに上がっているが、車椅子ごと踊りまくっている。
とても不思議なバンド。

Kabyle族も北アフリカ、アルジェリア北部の民族。
フレームドラムのDafやメロディラインに中近東の雰囲気があるが、リズムや掛け声はアフリカ的。
4つ打ちのハウスっぽいビートと腰を激しく揺らすダンスが特徴的。
 
 
Afel Bocoumはマリのギタリスト、シンガー。
細かなピッキングとゆったりした歌い方は、Ali Farka Toureに近しい感じもするが、こちらも独自のものがある。 
 
 Oumはモロッコのシンガー。
ダウナーなビートとジャージーな音色が、神秘的な感じを出している。
スーフィズムの影響もあるとの解説もある。
なかなか良い。
 
 
Mdou Moctarはニジェールの、というかトゥアレグのギタリスト、シンガー。
ディストーションの効いたギターを怒涛のように弾きまくってる。
ブルースから派生して行ったH/R、H/Mとも違うハードさが良いと思う。
キリスト教徒でもないのにクリスマスで浮き足立つのは、単にお祭り好きだからなんだと思うけど、どの時間のラジオでも聴いたことのあるクリスマスソングが流れるのも何だかなぁ、と思ってLenard CohenのHallelujahのカヴァーを漁ってみた。
なんでこの曲かというと、以前紹介したことのあるJeff Buckleyの弾き語りが良かったから。
この曲の歌詞は、聖書の故事に基づいていたり、そもそもハレルヤってどんな時に使うのか解って無かったりするけど、この歌を歌う人は感情を乗せてくる。
Mumiはイタリア、ミラノのElaia Handpanの製作者で、自作のHandpanでHallelujarを弾き語っている。
Handpanのクールな感じと感情たっぷりの歌の対比が面白い。
Elaia HandpanのHPでは、製作工程の動画や各スケールの試し弾きの動画が観られる。
作者の深いこだわりで色んなスケールのHandpanを作られている。
パッと見たところ、Cメジャーが無い?
ペンタトニックスケールとか、沖縄音階とか欲しいなぁ。
あと価格が分からないけど、ハンドメイドだから良いお値段な気はする。

こちらはクリスマス番組でのPentatonixによるカヴァー。
エンターテインメントとして流石だなぁ。
観客の盛り上がりも分かる。
ちなみに原曲のLenard Cohenが歌っているのはいまいちピンと来なかった。
たぶん表の意味と裏の意味があって、皮肉っぽい裏の意味に気持ちを込めているんじゃないだろうか。

サハラ砂漠近辺の音楽を漁っているうちに、どういう関連なのか、おすすめに上がってきたDua Lipa。
UKのシンガーで20代かと思うけど、アーリー80's辺りのディスコチューンぽい感じ。
先月紹介したNYのBlu DeTigerも路線としては似ている。
プロダクション戦略なんだろうけど、上手くハマっているなぁ。
もっと聴きたくなる。
 
 
もう一人おすすめに上がって来たのが、Anoushka Shankar。
Ravi Shankarの娘にして、Nore Jonesの妹らしい。
Ravi Shankarはサイケデリックな頃のThe Beatlesとも共演していたシタール奏者。
Nora JonesはUSAのシンガー、って説明も要らないか。
そんな異母姉妹の共演MVがあった。
早いパッセージをシタールを次から次へと弾きまくる曲も良いけれど、Nora Jonesの歌が乗ってなんだか柔らかい感じのこの曲も良い。
 
アフリカと言いつつ、サハラ砂漠近辺からマリ、コンゴ辺りまでしか聴いていない。
耳に届いていない凄い曲が、まだまだあるだろう。
読んでいただいた皆さんに感謝します。

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