初めての胃カメラ

人間ドックを受ける年齢になって久しいが、胃カメラは怖くてやったことがなかった。
細いファイバーとは言え、口から胃の中を覗くなんて、ちょっと抵抗がある。
でも、そろそろ五十路も近づき、自覚のない病にでも侵されていたら、と考えてちょっとやってみることにした。
看護婦さんに鼻からにするか口からにするかと聞かれて、初めてなので良く分からない、と答えると、花粉症とかでなければ鼻からにしてみて、駄目だったら口にしましょうと言われる。
鼻から胃まで繋がっているのは分かるが、口からの場合と何が違うのか、まぁ、鼻からを薦めるのであれば従ってみよう。
20万分の1だかの医療事故についての事前同意書に署名して、待機の場所で待つ。
次の看護婦さんが現れ麻酔の説明をされる。
鼻の空間を広げる薬と、麻酔薬。
いずれも鼻の穴から噴霧し、軽くむせて涙が出る。
しばらくすると、鼻の一帯がもわっとして麻酔が効いてくるのがわかる。
効いてきた処で、いよいよカメラのある部屋へ通される。
低い寝台の上に横になるころには、鼻の一帯の感覚は麻痺している。
横向きになり、鼻からカメラを通される。
感覚が麻痺しているとは言え、苦しい。
喉の辺りを通るときにはえづくし、涙と鼻水と涎が入り混じったようなものをだらだら垂らしている。
見えたものを先生が説明してくれているのだが、申し訳ないが半分ぐらいしか聞いてない。
胃カメラからの映像も見れるのだが、何とも言えない苦しさでよく見れなかった。
10分もしていないと思うのだが、5分ぐらいだったのだろうか、ようやく終わった時はほっとした。
吐くようなことは無かったが、えづくと看護婦さんが背中をさすってくれていたのがありがたい。

結果は、良性のポリープが一つある以外は異常なし。
写真を見たが、実に美味しそうなピンク色の胃だった。
麻酔は1時間ぐらいで切れるとのこと。
水を飲んでむせなければ食事も大丈夫とのことで、検査終了後、早々にレストランへ行く。
珍しく人間ドックに食事が付いているので、ハンバーグステーキをいただいた。
昼にはまだ早い時間に、広いレストランの中でぽつんと独りで食事をした。
外の強い日差しを眺めながら、ゆっくり食べ、ぼんやりとしていた。
来年はバリウムに戻すか、胃カメラを再度チャレンジするか、まだ決めかねている。
手捏ねのハンバーグはとても美味しかった。


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