酉年

今年の干支は酉年。
干支に因んで、年初から鶏肉を売り出そうとしているようだ。
12年前も同様だったのだろうか。
覚えていないが、なぜか目につく。
縁起物として食べるという言い回しに、首の後ろや脇腹の辺りがざわざわする。
でも申年に、猿(猴?)を食べようとはしなかったのは、何故だろうか。
食習慣として、あまり一般的では無いからだろうか。
そうなると、来年の戌年には犬(狗?)を食べる話が出るかどうかは、ひとつの試金石になるのかもしれない。
以前、韓国料理では犬を食べるという話を、友人から聞いたことがある。
旅行業界も巻き込んで、縁起物の犬肉を食べに行くツアー企画が出てくるのだろうか。
その次の年は亥年だから、牡丹肉でも豚肉でも、きっとキャンペーンを張るだろう。
もしかすると、コンビニで牡丹肉の串焼きが食べられるのかもしれない。
しかし、その次の子年はどうか。
さすがに鼠は食べないだろうと高を括って、念のため検索してみたら、ベトナム料理で存在するらしい。
こんな調子で考えると、中国の古くからのジョークのように、十二支の動物で人間が食べないものは無さそうだし、食べるキャンペーンがあってもおかしくない気がする。
食べるという行為には、食べられるものの力を自分に取り込むという、呪術的な意味がある、という。
例えば、古代アメリカの食人儀礼、キリスト教の聖餐式、日本の新嘗祭など、食べるという行為で聖なる力を自らに取り込み、世俗のパワーに還元する構図は、人類普遍な思考パターンであるようだ。
年初からの鶏肉キャンペーンに、何となくざわざわする感じがするのは、食べることの呪術性を、よりダイレクトに訴えてきてるような気がするからだ。
縁起の良いものを食べよう、という語りかけは、聖なるものを食べようというメッセージを潜在しているのではないだろうか。
今年の鶏肉を食べよう、というキャンペーンは、そうした思考を意図しているのだろうか、それとも無意識に意図してしまったのだろうか。
かく言う私は、そんな事はどうだって良くて、今年も美味い焼鳥も、フライドチキンも、唐揚げも、タンドリーチキンも食べたいと思っている。

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